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まち ライフスタイル 建築

日日是好日

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日日是好日

映画館にはあまり行かないほうだ。集中力というか没頭力というか、何かが足りないらしい。洋画だとなおさらで、外国人の顔がみんな同じに見える上に、私の少ない集中原資が字幕を読むのに奪われるからしんどい。ストーリーが難解奇抜(個人の感想)な「マトリックス」を観た時などはひどくて、鑑賞後の感想戦に備えて痩せるかと思うほどプレッシャーを感じながら集中して観た記憶がある。

 

さて。そんな私が人に誘われて「日日是好日」という映画を観た。樹木希林のおそらく最後の出演作(多分。知らんけど)。
これが大変すばらしかった。ゆっくりリラックスして(何のプレッシャーもなく!)楽しめて、憑き物が落ちたかのようなすがすがしい気分とともに、子供のころを思い出して少し感傷的にもなる。
すぐに原作本も読んでみたが、映画とは違う奥行きが感じられてこれまたナイスなのであった。

ネタバレになるのであまり書かないが、主人公の女性が週1回のお茶の稽古を20年以上続ける中で、身辺に起こる出来事、心境の変化、感覚の変化、成長を描いている。
知らなかったが、お茶というのは細かいことまで作法があって、歩く時でさえ「畳1枚を6歩」のように決められている。一挙手一投足が決め事でがんじがらめなのだが、「意味なんて分からなくていいの。お茶はまず『形』から。先に『形』を作っておいて、その入れ物に後から『心』が入るものなのよ」と先生は説く。
そして実際に何度も繰り返すことで「形」が身につき、「心」が入る様が描かれる。「心が入る」とは、自分にも他人にも自然にも向き合うための寛容さとか謙虚さとか、何というか時間をかけてゆっくり扉が開かれるような感じだろうか。うまく言えないが映画も本もこのあたりの機微はしっかり表現されている。

「雨の日は、雨を聴く。雪の日は、雪を見る。夏には、暑さを、冬には、身の切れるような寒さを味わう。…どんな日も、その日を思う存分に味わう」。どんな日も「好日」。豊かに生きるっていうことはこういうことだと気づかせてくれるのである。

 

で、建設業従事者として当然言うけど、茶室はやっぱりすばらしい。作中では四季の草花が彩る庭の中にあり、ごく控えめに描かれているものの、人と自然をつなぐ(どこかで聞いたような・・)重要な機能を担っていることは間違いない。絵を際立たせる額縁のような感じに。

考えてみれば現代は本当に便利で快適だ。スーパーに行けば冬でもトマトがあるし夏でもイチゴのショートケーキが食べられて、暑さも寒さも雨も風も頑丈な建物がきっちり防いでくれる。竹中工務店の施工なら万全といえよう。しかし、こういった捨てることのできない便利さと快適さに「人と自然をつなぐ」をどう取り入れるか。ド原点を見せられて改めて考えさせられるのであった。

 

暇さえあればスマホに目を落とすのが習慣になってしまったが、時には電車待ちのホームから移ろう都会の風景をゆったり眺めるのも「好日」への近道かもしれない。

 

【クロッキー閣下】

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